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Recombinant Virus Database

Virus Bank SOP-HCV-001

RT-PCR法によるC型肝炎ウイルス(HCV)ゲノムの定量に関する標準操作手順書

1. 目的

1.1
本標準操作手順書はRT-PCR法によるHCV感染細胞中のHCVゲノムの定量について述べたものである。

1.2
本試験で用いるHCV感染細胞の調製は               の記載に従う。

1.3
本試験で用いるcompetitor DNAの調製は               の記載に従う。

1.4
本試験で用いるサーマルサイクラー(MJ Research, PTC-200)の詳細な取扱いは               に、デンシトグラフ(アトー, AE-6920M-03型)の詳細な取扱いは               に従う。

2. 原理

2.1
HCV感染細胞より抽出したtotal RNAを鋳型として、competitor DNAを内部標準としたRT-PCR法により、HCVゲノム中で比較的塩基配列が保存されている5'非翻訳領域のcDNAを増幅し、さらにnested PCRを行った後、アガロースゲル電気泳動にて内部標準のcompetitor DNAとの比率から感染細胞中のHCVゲノムの定量を行うものである。

3. 試薬類

3.1
ISOGEN(Cat. No. 311-02501)はニッポンジーン社、dNTP mixture(#27-2035-02)はPharmacia Biotech社、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水(#364-15)はナカライテスク社、AMV逆転写酵素(#120248)は生化学工業、AmpliTaq DNA Polymerases with buffer(#N-808-0160)はPerkin-Elmer社、アガロース(#A6013)はSigma社、50×TAEバッファー(#24710-030)、5×First Strand Buffer、0.1 M DTT(#18057-018)はGIBCO BRL社製を使用する。

4. PCRプライマーの調製

4.1
HCVゲノム増幅用の1st sense primer #5: 5'-AGTATGAGTGTCGTGCAGCCT-3'、1st antisense primer #8: 5'-GCACTCGCAAGCACCCTATCA-3'、2nd sense primer #6: 5'-AGCCATAGTGGTCTGCGGAAC-3'、2nd antisense primer #7: 5'-TACCACAAGGCCTTTCGCGAC-3'を合成し、それぞれDEPC処理水に終濃度10 μMとなるように溶解する。

5. 操作手順

5.1
HCV感染ヒト肝細胞を1 mlのPBSで3回洗浄した後、ISOGEN 500 μlを添加し、十分ピペッティングする。ISOGEN可溶化サンプルを1.5 ml容のエッペンドルフチューブに移し、total RNAの調製に持ち込む。直ちにRNA抽出を行わないサンプルは- 80℃のフリーザーにストックする(少なくとも1ヶ月は保存可能)。

5.2
ISOGEN可溶化サンプルにクロロホルム200 μl/チューブを添加し、vortex mixerで15秒間遠心後、室温で3分間静置する。次に20,000×g(半径9 cm, 14000 rpm)、4℃で15分間遠心した後、上清(水相)300 μlをグリコーゲン添加エッペンドルフチューブ(2 μl/チューブ、遠心中に準備)に加え、更にイソプロピルアルコール300 μlを添加後に10秒間撹拌する。撹拌したサンプルは- 80℃に30分間放置する(overnightも可能)。20,000×g、4℃で15分間遠心後、上清を除去(多少上清が残っても良い)し、70 %エタノールを700 μl添加する。撹拌せずに20,000×g、4℃で5分間遠心した後、上清を除去し、そのまま1分間遠心して壁に付着したエタノールを完全に落とす。最後にマイクロピペットで完全に上清を除去する(この時完全に乾燥させないように注意する)。

5.3
RT(Reverse Transcription)反応は以下の方法で実施する。即ち、下記のRT-1溶液を抽出したtotal RNAに添加し(30 μl/チューブ)、vortex mixerで撹拌溶解後、氷上に静置する。沸騰したお湯で5分間インキュベートし、氷水にて急冷した後(5分以上)、20,000×g、4℃でflash遠心して壁に付着した水滴を落とす。2~3回ピペッティングした後、12 μlをRT-PCR用チューブに分注し、下記のRT-2溶液8 μlを添加後、ピペッティングする。43℃に設定したサーマルサイクラー(MJ Research, PTC-200)で30分間インキュベートし、更に99℃で5分間インキュベートした後、4℃で保存する(RT-1、RT-2はRNA抽出のクロロホルム添加後の遠心時に調製する。但しRT-2へのAMV-RTase添加は本項の「沸騰したお湯で5分間インキュベートし、氷水にて急冷」中に実施)。

      ●RT-1溶液の組成(RNAサンプル1本当たり)

      

      ●RT-2溶液の組成(RNAサンプル1本当たり)

      

5.4
RT反応により得られたcDNAを以下の方法により増幅する(1st PCR)。即ちcDNAを5 μlずつ3本のRT-PCR用チューブに分注し、各濃度の内部標準competitor DNA(103、104、105 copies/チューブ)を含む1st PCR溶液を45 μl添加する。ピペッティング後、以下に示すプログラムを設定したサーマルサイクラーによりPCRを実施する。

      ● PCRにおけるサーマルサイクラーのプログラム

      

      ●1st PCR溶液(cDNA 1サンプル当たり)

      

5.5
1st PCR後のサンプル5 μlを新しいPCR用チューブに添加し、さらに以下に示す2nd PCR溶液45 μlを添加し、ピペッティング後、1st PCRと同様のプログラムで2nd PCRを実施する。

      ● 2nd PCR溶液(cDNA 1サンプル当たり)

      

5.6
PCR終了サンプルのcDNAの検出はアガロースゲル電気泳動により実施する。泳動ゲルは以下の通り調製する。即ち、ミリQ水で希釈した1×TAEバッファーに懸濁したアガロース(3%、w/v)を電子レンジ等により加熱し、完全にアガロースが溶解したのを確認し、室温で固まらない程度まで冷却する。Mupid-2ゲルメーカーセット(アドバンス, #EM-2)の大プレートに40 mlのアガロースを流してゲルを作製する。2nd PCR産物10 μlに6×Gel-loading buffer(0.25% bromophenol blue/0.25% xylene cyanol/30% glycerol)を2 μl添加し、そのうちの10 μlをゲルにアプライして1×TAEバッファー中、100 Vで30分間泳動する。

5.7
終濃度2 μg/mlのエチジウムブロマイドを添加したミリQ水に電気泳動後のゲルを浸し、室温で10分間放置する。その後、水道水で5分間洗浄する。UV(312 nm)照射により、デンシトグラフ(アトー, AE-6920M-03型)にライブ画像を取り込んだ後、解析ソフトウエア「ゾーンデンシトメトリー」によりHCV cDNAとcompetitor DNAのバンドの強度を定量する。データはExcelのテキストファイルとして保存する。

6. 計算

6.1
ゾーンデンシトメトリーによる解析データをコンピューターソフトウエア"Microsoft Excel 5.0"を用いてHCVゲノムのコピー数を算出する。例えば、105 copiesのcompetitorのバンドとHCV由来のcDNAのバンドの比(HCVゲノム/competitor)が1±0.1の範囲内であれば、最初に含まれるHCV RNAはcompetitorのコピー数と同じであると判断し、105と104 copiesの間であれば両者の中間値104.7 copiesであると判断する。得られた値を10倍した値がウエル当たりのHCVゲノムのコピー数となる。

6.2
プリントアウトし、必要事項を記入し報告用紙とする。

6.3
測定例を以下に示す。



        

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2010.05.19